雨ニモアテズ1
「雨ニモアテズ 風ニモアテズ
雪ニモ 夏の暑サニモアテズ・・・」
ちょっと待ってよ。それもしかして、宮沢賢治のあの有名な詩のことではないの。それであれば、「雨ニモマケズ 風ニモマケズ・・・」でしょう。
いや、そうではないのです。もうちょっと、しんぼうして読んでみましょう。
「リッパナ家ノ 自分ノ部屋ニトジコモッテイテ
東ニ病人アレバ 医者ガ悪イトイイ
西ニ疲レタ母アレバ 養老院ニ行ケトイイ
南ニ死ニソウナ人アレバ 寿命ダトイイ
北ニケンカヤ訴訟ガアレバ
ナガメテカカワラズ」
なにやら今の世相を鋭く指摘しているようで、落ち着かない感じですね。さらに、この詩は続きます。
「日照リノトキハ 冷房ヲツケ
ミンナニ 勉強勉強トイワレ
叱ラレモセズ コワイモノシラズ」
わはあ!大変だ。
実はこれは、筑摩書房の『ちくま』という読書誌に載っていた記事の冒頭にある詩です。
筆者の色平哲郎は、
「詠み人知らず」と書いてありますが、「この詩をはじめて読んだとき、とても怖いと感じました。ズボシだったからです。日本の四十代から下の若い世代は、私だけでなく、ほとんどがこの詩にあるような人間ではないでしょうか」と、「自分も含めて」と断りながら書いています。
本当に四十代以下の世代は、このように考えているのでしょうか。
学校生活を送っているうちに、また社会に出て会社や組織で働いているうちに、だんだんと「社会のなかの自分」とか「組織の中の自分」ということを学んでいきます。
だが、そのように成長することができなかった人々が大半だということでしょうか。それとも、そのような学習の機会がなかったとか。
四十代から下の世代と色平氏は言っています。四十代といえば、今会社や官庁などの組織の中では、中心になって活動している人々、まさに影響力の一番大きい世代です。
まさか、このような意識で、社会を動かしているとは思いたくありませんが、時々ニュースの表面に出てくる人たちの行動原理には「そうだったのか」と思わせるものが多い気もします。
注)色平哲郎 「無謀な企て」『ちくま』2008年2月 第443号 筑摩書房
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