不屈の民1
日本人は、アイルランドが好きなのでは? いや「日本人は」と言いきるのは、無理かもませんね。ただ私は、アイルランドという国に、なぜか惹かれるのです。アイルランドが、日本と同じように、小さい国だからというだけではないでしょう。
その昔、次のような詩がありました。
汽車に乗って
あいるらんどのような田舎に行こう
ひとびとが祭りの日傘をくるくるまわし
日が照りながら雨のふる
あいるらんどのような田舎にいこう
車窓に映った自分の顔を道づれにして
湖水をわたり、トンネルをくぐり
珍しい顔の少女や牛のあるいている
あいるらんどのような田舎にゆこう
(丸山薫。昭和一〇年刊・詩集『幼年』-新潮社「日本詩人全集」より
「日が照りながら雨が降る。」珍しい雨ですが、日本にも「狐の嫁入り」という雨がある。そんな雨だろうか。「珍しい顔の少女や牛」って、どんな顔なのだろう。でも、「あいるらんどのような田舎」というのは、なんとなく感じがわかる。
家内と一緒に一週間ほど、アイルランドの各地の旅をしました。
驚きは、イギリスにいるときから始まりました。ヒースロー空港では荷物がよく無くなるということだったので、荷物を受け取ってからカートを押しながら、長い通路を歩いて、アイルランド航空の搭乗口へ行きました。なんと、待合室のあたりが緑一色なのです。
それが、ダブリンについてみると、郵便ポストまでが緑なのです。「ポストは赤い」と思っていたので、まったく新鮮で、心地よい驚きでした。世の中、まさにさまざまです。しかし、事態はそれだけではないのです。バスも緑、いやバスにはいろいろな色がありました。しかし、「赤ではない。」
バスの現地のガイドからも、私たちが旅行者と見て話しかける人々からも、「イギリスとは、絶対に一緒ではない」という、なにかイギリスに対する敵がい心にも似たものがあふれている感じさえしたのです。
ずっと、イギリスという国に、搾り取られ虐げられた人々、小麦は年貢でとられ、やむなく主食にしていたジャガイモまでが育たなくなった飢饉で、多くの人が国を出ていかざるを得なかった。そんな歴史を思い出しながらあたりを見ていると、いたるところに、その影響が感じられました。
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